巨人のエース・戸郷翔征が直球に苦しむ日々に終止符を打つきっかけを掴んだ。その鍵を握ったのは、日米通算198勝を誇る田中将大だった。合同練習中に戸郷が投げていたカットボールの影響で、直球の握りが無意識のうちに変わっていたことに田中は気づいた。

戸郷にとって直球は「生命線」。田中は「ボールの中心をしっかり握る」という基本に立ち返るよう助言し、わずかな握りのズレが回転数や伸びに与える影響の大きさを説いた。その言葉に戸郷は強くうなずき、即座に修正に取り組んだ。

投球練習では、直球にかつての感触が戻り、自信を取り戻した戸郷。田中からの一言が、技術面だけでなく精神面にも大きな影響を与えた。この経験を経て、戸郷は次の阪神戦での“リベンジ”を胸に誓っている。

戸郷の直球がなぜ通用しなくなったのか。その核心を突いたのが田中将大だった。「ミリ単位で直球の握りを修正しろ」というシンプルかつ鋭い助言は、戸郷にとって目から鱗の言葉だった。

戸郷は新たに取り組んでいたカットボールの影響で、無意識のうちに握りをずらしていた。その結果、直球の回転効率が下がり、空振りも奪えなくなっていた。田中の指摘によりその事実を認識し、キャッチボールとブルペンでの投球を通じて感覚を修正した。

この変化は戸郷にとって「うなずける感覚」の復活だった。技術の修正だけでなく、先輩からの実体験に基づいたアドバイスは、心構えや投手としての哲学にも深く響いた。戸郷は田中の金言を胸に刻み、次の登板でその成果を示すつもりでいる。

開幕から戸郷は決して順調なスタートを切ったわけではなかった。3月28日のヤクルト戦では、守備のミスとヒットが重なり、5回に4失点。4月4日の阪神戦では、自身の25歳の誕生日にも関わらず、初回から失点を重ね、3回でマウンドを降りる苦しい展開となった。

この2試合は、いずれも直球の威力と精度が欠けていたことが影響していた。特に、真っすぐでカウントを稼げず、勝負所で打たれてしまう場面が目立った。

だが、田中将大の助言によって握りを修正した後、ブルペンでは直球にキレと伸びが戻ってきた。投球全体のバランスも良化しつつあり、再調整の成果が表れ始めている。戸郷はこれらの課題を乗り越え、次こそは実戦で結果を残そうとしている。

戸郷翔征は、今や巨人の未来を背負うエース候補である。昨季までに積み上げてきた実績に加え、今季もさらなる飛躍を目指している。だがその道のりには、苦しみと修正の連続があった。

今季序盤の不調をきっかけに、自らの直球に疑問を抱いた戸郷。その中で出会った田中将大の言葉が、自身の原点を思い出させてくれた。菅野智之や田中といった先輩たちのサポートが、戸郷の成長に大きく寄与しているのは明らかだ。

直球が復調すれば、持ち味であるスプリットやカーブもより効果を発揮する。生命線の再生は、すなわちエースとしての完全復活への道であり、戸郷はその過程を着実に進んでいる。

直球のキレを取り戻した戸郷翔征は、次なるステージへの扉を開こうとしている。田中将大からの「中心をしっかり持て」という助言は、戸郷にとって技術とメンタル両面でのターニングポイントとなった。

ヤクルト戦、阪神戦での悔しい結果も、今となっては成長の糧に変わっている。田中とのキャッチボールで得た直球の感覚が戻り、自信を取り戻した戸郷は、再びマウンド上で輝く準備を整えた。

「次の阪神戦でリベンジを果たす」。そう誓う戸郷にとって、その言葉は単なる意気込みではない。直球を磨き直した今の戸郷は、確実に次のステップに進みつつある。

巨人の投手陣の中心として、そして日本球界を代表する投手の一人として、戸郷翔征のこれからに注目が集まる。田中将大からの“金言”が、未来を切り開く導火線となる日は近い。