
(出典 full-count.jp)
1. DeNAの現状と“猫の目打線”の背景
DeNAベイスターズは現在、勝率5割でセ・リーグ3位タイにつけている。ここまでの戦いは決して順風満帆ではなく、主力選手の相次ぐ故障により打線の構成が大きく変動する事態となっている。そんな中で注目されているのが「猫の目打線」だ。
この打線名は、日替わりのように変わるスタメンから名付けられた。特に36歳の宮﨑敏郎がチームの中軸を担いながらも、三浦大輔監督が適度な休養を与える運用を行っていることが要因の一つだ。実際に、開幕からわずか12試合で10通りの打線が組まれ、柔軟性と試行錯誤の色が濃い。
そんな中で注目されているのが、2番に強打者・牧秀悟を置くという戦略。オフェンスチーフコーチの靏岡賢二郎は「得点機会を最大限に活かすため」とし、この布陣が相手バッテリーにとって脅威となっている。1番の梶原昂希、8番の森敬斗は固定されつつ、それ以外の打順は相手や状況に応じて変化させている。
変幻自在なこの布陣が、今後どのように進化を遂げるのか。注目が集まっている。
2. 猫の目打線の具体的な組み合わせ
猫の目打線とは、まさに“日替わりオーダー”を象徴する存在だ。開幕から12試合のうち、10パターンの打線が組まれたのは、異例とも言える柔軟さだ。固定されているのは、1番・梶原昂希、2番・牧秀悟、8番・森敬斗のみ。その他のポジションは試合ごとに顔ぶれが変わる。
この戦略には、2つの狙いがある。一つは、選手のコンディションに応じた起用でパフォーマンスの最大化を図ること。もう一つは、相手チームのデータ分析を撹乱し、予測不可能な展開を生み出すことだ。
特に2番に牧を置く意図は明確で、セイバーメトリクスに基づき「打席機会を増やして得点力を高める」という発想に立脚している。強打者に多くの打席が回ることにより、勝負の流れを引き寄せる効果が期待されている。
主軸の怪我により構築されたこの流動的打線は、むしろ選手たちの柔軟性を引き出し、チーム全体の底上げに繋がっている。
3. 牧選手を2番に置く意図
2番に牧秀悟を配置する戦略は、ベイスターズの打撃陣において革新的な試みと言える。従来の“2番=小技とバント”というイメージを打ち破り、攻撃の軸を早い段階で打席に立たせる新たな発想だ。
この狙いは、1回の攻撃だけでなく、試合を通して牧に多くの打席が回るようにすることにある。牧は現在、打率.308、得点圏打率.429という圧倒的な成績を残しており、チャンスで彼が打席に立てば、確実に得点に結びつく可能性が高まる。
加えて、昨季4番で感じていたプレッシャーから解放され、より自由に、自分のタイミングでスイングができるようになった。これにより、牧本来の積極的な打撃スタイルが復活し、打線全体の勢いも上がっている。
“最強の2番打者”としての牧の存在は、DeNAに新たな風を吹き込んでいる。
4. チーム全体の戦略とコーチの考え
この猫の目打線をプランニングする靏岡賢二郎コーチの視点も興味深い。彼は、相手に対応されない柔軟な打線を構築することにより、攻撃の流れを常に優位に保とうとしている。
また、この戦略は怪我人が多い現状でも、最適な選手を配置し、チームの穴を最小限に抑えるための措置でもある。試合ごとの相手投手や守備配置を加味し、スタメンを変えることで、選手たちにとっても刺激となり、モチベーションの維持にも繋がっている。
牧の2番起用については「いい打者を多く打席に立たせるべき」というセオリーに則ったものであり、牧自身もこの役割に手応えを感じている。チームの攻撃をリードする役割を果たしながら、彼本来のスタイルを維持できる環境が整っていることが好結果に結びついている。
この戦略の背景には、選手個々への深い理解と柔軟な発想があり、他球団にはない独自色が見て取れる。
5. 最後に
猫の目打線は、主力の復帰後にも活用される可能性がある。というのも、この戦術はチームに柔軟性を持たせるだけでなく、相手への揺さぶりとして大きな効果を発揮しているからだ。
攻撃面では牧の存在が中心であり、2番での起用は今後も継続される見込みだ。さらに、東克樹やトレバー・バウアーといった先発陣が安定している今、ブルペンの再編も進められている。森原康平やローワン・ウィックといったリリーフ陣の復帰が近づけば、守備面での整備も進み、より勝利に直結する布陣が構築されるだろう。
開幕からの流動的な打線運用は、DeNAのシーズン戦略そのものであり、勝負の分かれ目となる。猫の目のように変化しながらも、その中心には“勝つ”という一貫した目的がある。この柔軟なアプローチが、今後のDeNAにどのような成果をもたらすのか。注目して見守りたい。